映画『正体』は、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督と横浜流星が一人五役に挑んだサスペンスドラマ。
原作は、異色の経歴を持つ作家・染井為人によるミステリー小説で、冤罪や偏見といった社会問題を描き出した傑作です。
観る人を引き込むストーリー展開や、心揺さぶる演技が期待される本作を、より楽しむために必要な情報を集めました。
この記事では、本作の見どころとなる5つを紹介します。
✅原作小説を詳しく解説
✅ドラマ版との違い
✅様々な社会問題を描いてきた藤井道人監督
✅5つの顔を持つ難役を演じきった横浜流星
✅こだわりぬいたロケーション
映画のネタバレは避けながらも、ファンなら絶対に見逃せない見どころをお伝えします。
1.原作小説について
1-1.染井為人さんについて
1983年7月21日生まれ。
千葉県印西市出身。
高校卒業後にサッカー選手を目指し、長野県菅平のサッカー養成所で2年ほど過ごす。その後、地元で介護の仕事に就きました。
そこで意外な転機が訪れます。福祉関連の仕事を探していたところ、芸能事務所に採用され、ティーン向けファッション雑誌「ピチレモン」のモデルマネージャーとなりました。
小説を書き始めたきっかけは、この異色の経歴から「ひとりで静かに過ごしたい」という思いからでした。
2017年にデビュー作「悪い夏」で、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、作家としてデビューしました。
そんな異質な経歴を反映して、描く小説にも芸能界や介護の世界が登場します。
「正体」にも、介護の仕事や長野県菅平の描写が含まれています。
1-2.原作小説「正体」について
「正体」は染井為人による長編小説で、2020年1月に光文社から出版されました。
【あらすじ】
物語の中心は、18歳の少年・鏑木慶一です。彼は埼玉県の民家で起きた一家三人殺害事件の犯人として死刑判決を受けますが、19歳で拘置所から脱走します。
鏑木は偽名を使い、整形して逃亡生活を送ります。その過程で様々な人々と出会い、彼らを助けていきます。
しかし、彼らは後になって鏑木が死刑囚だったことを知り、困惑します。
この小説はフィクション作品ですが、書くきっかけになったのは、未成年でも死刑になることを知ったときでした。
さらに過去のインタビュー記事から、「イメージを膨らませるきっかけになったのは、警察署から逃亡して自転車で日本一周を目指した容疑者でした。」とあります。
この事件とはあまり似ているとは思いませんが、「逃げる」という部分を連想させたのかもしれません。
鏑木慶一という人物像と冤罪という重いテーマを巧みに織り交ぜた本作は、読者に深い洞察を与え、社会的な問題提起をする作品として注目を集めました。
1-3.読者の評価
「正体」は読者から非常に高い評価を受けているようです。
主な評価ポイントは以下の通りです。
・冤罪という重いテーマを扱いながら、深く考えさせる内容は没頭度が高く、多くの読者が「一気読みした」「寝食を忘れて読んだ」と述べており、物語の魅力に引き込まれていることがわかります。
・物語の構成と展開が巧みで中だるみがなく、主人公の鏑木に強く感情移入する読者が多く、その運命に心を動かされます。
・主人公だけでなく、脇役のキャラクターも魅力的に描かれているところも評価されています。
・感動的なエンディングに多くの読者が感動し、多くの読者が感情的な影響を受けています。
2.WOWOWドラマ版との違い
WOWOWで放送された亀梨和也主演のドラマ版との違いを解説します。
2-1.WOWOWドラマ版『正体』について
ドラマ版では、亀梨和也が鏑木慶一役を演じています。その他に黒木瞳(井尾由子役)、市原隼人(野々村和也役)、貫地谷しほり(安藤沙耶香役)上川隆也(渡辺淳二役)などが出演。人間ドラマを深く掘り下げる内容となっています。
2022年3月から放送され、全4話で構成されました。
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— 【公式】WOWOW「連続ドラマW 正体」 (@shoutai_wowow) October 18, 2022
映画的な撮影手法を用いており、映像の重みを感じる濃厚な作品となったのも好評でした。
ドラマ版は原作とは異なる結末を迎えています。原作者の染井為人は、ドラマ版について「純粋に楽しませていただきました」とコメントしています。
2-2.ドラマ版との違い
映画版とドラマ版はどちらも、逃亡する死刑囚の鏑木慶一の物語を中心に展開します。
映画とドラマの性質上演出にも異なる部分がありますが、大きな違いとして、映画版のほうが原作小説に近いシリアスな展開になるでしょう。
ドラマ版は主人公を含む登場人物に焦点を当てていましたが、映画版は社会の理不尽さと複雑な人間心理を強調させた内容になりそうです。
3.映画情報
3-1.あらすじ
殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)は脱走に成功。
日本各地で潜伏しながら逃走を続ける鏑木が沙耶香(吉岡里帆)や和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)らと出会う一方、彼を追う刑事の又貫(山田孝之)は沙耶香らを取り調べる。
しかし彼らが語る鏑木の人物像はそれぞれ全く異なり、まるで別人のようだった。
(シネマトゥデイより引用)
3-2.スタッフ紹介
監督・脚本 | 藤井道人 |
---|---|
原作 | 染井為人 |
脚本 | 小寺和久 |
企画 | 水木雄太/福島大輔 |
プロデュース | 水木雄太 |
プロデューサ | 辻本珠子/阿部雅人/瀬崎秀人 |
撮影 | 川上智之 |
音楽 | 大間々昂 |
主題歌 | ヨルシカ「太陽」 |
映画『正体』の主題歌は、ヨルシカの「太陽」です。
主題歌を担当するにあたって、「タイトルの「太陽」には、太陽をモチーフに、陽の光を蝶の羽根に見立てた詩を込めています。正体の余韻と調和する仕上がりになっていれば幸いです。」とコメントしています。
この曲は、映画のテーマや感情に深く結びついており、物語をさらに引き立てる重要な役割を果たしています。
3-3.登場人物の紹介
鏑木慶一(かぶらぎ けいいち)…横浜流星
主人公。無実の罪で死刑を宣告された青年。
脱走後、色んな人物に成りすましながら逃亡を続ける。彼の内面の葛藤、人間性が物語の中心となり物語は進んでいく。
安藤沙耶香(あんどう さやか)…吉岡里帆
鏑木と同居するライター。
彼の無実を信じ、逃亡生活を共にする中で、彼の過去や真実に迫ろうと奮闘する。
野々村和也(ののむら かずや)…森本慎太郎
大阪の日雇い労働者。
鏑木(ベンゾーとして)と工事現場で出会い、友情を築く。しかし、彼が指名手配犯である可能性に気づき葛藤する。
酒井舞(さかい まい)…山田杏奈
長野の介護施設で働く女性。
鏑木(桜井として)の同僚。彼に対して特別な感情を抱きつつも、彼の正体に疑問を持つようになる。
又貫征吾(またぬき せいご)…山田孝之
鏑木を追う刑事。
全国各地で彼の行方を追う。捜査を進める中で、出会った人々から鏑木の異なる側面を知り、真実に迫ろうとする。
際立ったキャストが、サスペンスとヒューマンドラマを交錯させる展開を生み出しています。
4.映画の見どころ
4-1.5つの顔を持つ難役
横浜流星は、指名手配犯・鏑木慶一という複雑な役柄に挑戦しています。
この役柄の特徴は、逃亡中に5つの異なる人物になりすますという点です。
具体的には以下の5つの顔を演じ分けています。
・死刑囚の鏑木慶一
・日雇い労働者「ベンゾー」
・フリーライター「那須」
・水産加工工場勤務「久間」
・介護職員「桜井」
数多くの作品(長編劇場映画では「青の帰り道」「ヴィレッジ」に続き3度目のタッグ)で横浜流星とタッグを組み、ともに作品を作り上げてきた監督の藤井道人は、「彼の七変化が見られる」と称賛している。
3年越しの企画となった本作に、序盤の脚本作りから参加した横浜流星。役を「生きる」という姿勢で、細やかな表現でキャラクターを体現しています。
4-2. リアリティあふれるアクションシーン
横浜流星が挑むリアルなアクションシーンも見どころです。
警察に追われる逃亡者として、マンションからの飛び降りやトラックの屋根への飛び降りなど、危険なシーンも自ら演じています。
藤井監督と横浜流星の連携により、1カットごとに妥協のない撮影が行われました。
これらのアクションシーンを含め、1カット1カット妥協せずにベストを目指して撮影に臨んだようです。
(C)2024 映画「正体」製作委員会
この緻密な撮影姿勢がリアリティあふれるアクションシーンの実現につながっています。
これらのアクションシーンは、単なる見せ場ではなく、鏑木慶一という人物の切迫した状況と心理状態を表現する重要な要素となっています。
4-3.主人公・鏑木慶一の内面描写と複雑な人間ドラマ
物語は単なる逃亡劇に留まらず、複雑な人間ドラマも描いています。
鏑木が無実を主張しつつ罪の意識に苦しむ葛藤。
逃亡先で出会う人々との絆。
そして冤罪や偏見といった社会問題が大きなテーマとなっています。
さらに、5つの異なる人物になりすますことで、自身のアイデンティティに揺らぎが生じる様子が表現されています。
5.注目のロケ地について
日本中を駆け巡る488日間におよぶ逃走劇を描いた本作。
・夏のシーンは、2023年の7月頭~8月頭に東京と大阪
・冬のシーンは、2024年1月下旬~2月下旬に富山と長野
撮影期間は、2023年から2024年にかけて、時期を2つに分けて実施されました。
5-1.東京都
フリーライター「那須」として、生活しているシーンの多くが撮影されたようです。
PVを見るかぎり、走って逃げる印象的なシーンは巣鴨で撮影されています。
さらに新宿郵便局周辺でも撮影が行われました。
《#映画正体 Summer Album》
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夏編撮影の一コマ映画『正体』11.29(Fri.)全国公開🎬#横浜流星 pic.twitter.com/D03i8V5NJg
— 映画『正体』公式 (@shotai_movie) October 18, 2024
5-2.大阪府
大阪の日雇い労働者「ベンゾー」として、生活しているシーンの多くが撮影されたようです。柏原市内で撮影したことは判明しています。
《#映画正体 オフショット📷》
夏と冬、時期を分けて撮影した本作🎞#横浜流星 さんは猛暑の大阪ロケで
「ベンゾー」の愛称で呼ばれる
日雇い労働者を演じました!大阪ロケを終えるころには、
ベンゾー役にも愛着がでてきたようで
名残惜しそうな様子の横浜さんでした…😢11.29(Fri.)全国公開🎬 pic.twitter.com/eM04nhRKJF
— 映画『正体』公式 (@shotai_movie) October 13, 2024
5-3.長野県
介護職員「桜井」として生活しているシーンの多くが撮影されたようです。
長野県富士見町にある今井建設さんも、撮影協力したとの情報があります。この会社は『キングダム』など、数多くの映画製作のサポートを行っているようです。
長野県・女神湖では、酒井舞(山田杏奈)とのデートシーンが撮影されたようです。
《#映画正体 オフショット📷》
舞(#山田杏奈)が桜井(#横浜流星)を
デートに誘って訪れるのは、
氷上ドライブで有名な長野県・女神湖✨絶景でのロケーションに
お二人のテンションもアップ😊11.29(Fri.)全国公開🎬 pic.twitter.com/pvt4ljcQn0
— 映画『正体』公式 (@shotai_movie) October 10, 2024
□〒384-2309 長野県北佐久郡立科町芦田八ケ野
5-4.富山県
長野県と同様、冬のシーンの多くが富山県で撮影されました。
水産加工工場勤務「久間」として、働くシーンなどが撮影したようです。
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詳しい情報が入り次第、更新していきます。