洋画 PR

映画【鑑定士と顔のない依頼人】ネタバレあり 登場人物ごとに伏線&解説

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

どうも、こんにちは。

本日は『鑑定士と顔のない依頼人』の紹介です。

この作品をネタバレなしで紹介するには限界がありますので、今回は完全ネタバレありでの紹介になります。※未鑑賞の人は、映画を観てから読んで頂くことをおすすめします。

f:id:zubao:20201107182042j:plain

出典元:鑑定士と顔のない依頼人 : 作品情報 – 映画.com

【作品情報】

2013年 131分 イタリア PG12

名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、ジェフリー・ラッシュを主演に迎えて描く 恋愛&ミステリー作品


◆スタッフ

監督/脚本・・・ジュゼッペ・トルナトーレ

[プロフィール] イタリア出身/1956年5月27日

[代表作] 『ニュー・シネマ・パラダイス(1989)』、『海の上のピアニスト(1998)』、『マレーナ(2000)』など

 

◆主要キャスト

◇ジェフリー・ラッシュ/役名:ヴァージル・オドマン

[プロフィール] オーストラリア出身/1951年7月6日

この作品の主人公でやり手の美術鑑定士。潔癖症で女性が苦手。

 

◇ジム・スタージェス/役名:ロバート

[プロフィール] イギリス出身/1978年5月16日

何でも修復できるイケメン。ヴァージルの仕事仲間で数少ない相談相手。

 

◇シルヴィア・フークス/役名:クレア・イベットソン

[プロフィール] オランダ出身/1983年6月1日

資産家の令嬢で極度の広場恐怖症。ヴァージルに美術品鑑定の依頼をする。

 

◇ドナルド・サザーランド/役名:ビリー・ホイッスラー

[プロフィール] カナダ出身/1935年7月17日

売れない画家でヴァージルのコレクションを増やすために協力している、裏の仕事の相棒。

 

◇フィリップ・ジャクソン/役名:フレッド

[プロフィール] イギリス出身/1948年6月18日

クレアの家の使用人。

 

【あらすじ】


映画『鑑定士と顔のない依頼人』予告編

天才的な審美眼を誇る鑑定士バージル・オドマンは、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼を受け、ある屋敷にやってくる。しかし、依頼人の女性クレアは屋敷内のどこかにある隠し部屋にこもったまま姿を現さない。その場所を突き止めたバージルは我慢できずに部屋をのぞき見し、クレアの美しさに心を奪われる。さらにバージルは、美術品の中に歴史的発見ともいえる美術品を見つけるが……。(映画.comより引用)

 

【ネタバレあり解説(伏線&考察あり)】

本作は完全にネタバレなしで観たほうが楽しめるので、未鑑賞の方はこれ以降に書かれている内容にはご注意してくださいね。

この映画のジャンルは恋愛&ミステリーといった、ちょっと変化球な作品です。

前半〜中盤部分は完全に恋愛ドラマストーリーとして、物語が進んでいきます。

それが、後半になると一気に…実はかなり巧妙に仕掛けられた伏線があるミステリー作品へと変貌するのです。

予備知識なしで観たので完全に騙されました。

途中で何箇所か違和感を持たせ、巧妙に仕掛けられた伏線に驚かされます。

----------

それでは、私が気づいた伏線とそれに対しての解説を登場人物に分けて書いていきます。

 

◆伏線&解説 1:クレア編

◇クレアの家が廃墟すぎる

クレアは広場恐怖症で15歳から12年間家を出ていないということだが、12年間も人が住んでいる家にはみえない・・・、地下室があまりにも廃墟感がある。一年前まで両親と住んでいたことを考えるとさらにおかしい。

 

 

◇クレア失踪事件は想定外

おそらくクレアの失踪事件は想定外の出来事だった。

クレアが留守のタイミングでヴァージルがアポ無し(ランチを持ってきた)で訪れたのが原因です。

みんなで捜索活動するんですが、いきなりロバートが隠し部屋の存在をほのめかすんです。おかしいですよね。

使用人のフレッドも隠し部屋なんか知らないといいながら誘導したんでしょうね。

 

 

◇徐々にヴァージルを誘惑するように変化する

最初にヴァージルがクレアを見たときはクレアも想定外で思いっきり部屋着だった。

その時に見られたことに気づき(ヴァージルがロバートに見たこと言った)2回目はガウンだけでしかも髪型も少し変化しています。

2回目以降はバッチリ準備していたんでしょうね。だんだんヴァージルの気を引くような格好になっていきます。

 

 

◇クレアが自分の部屋に誘ったとき

一番重要なシーンです。

まず部屋にあったオートマタのパーツ、父親が大事にしていたものとして置いてあるのは分かるが、何なのかも分からないものをわざわざ分かりやすいところに、しかもケースに入れておくのは少し不自然だ。

現に欲望深いヴァージルは興味津々でした。

さらにヴァージルをクレアの虜とするため、だれも入れない部屋に入れたことで “特別なこと” をした達成感を味わせたんです。

これでヴァージルは完全に冷静な判断ができなくなってしまった。

そしてヴァージルも誰も入れない部屋(目的である肖像画の部屋)に入れちゃいました。(ジ・エンドです)

このシーンのクレアは喜びすぎ(笑)

 

 

◇ヴァージルに依頼したカタログの処分

おそらくクレアの家にあった家財やカタログに載せた(競売にかける)ものは、レンタルしたか購入したものだったんでしょう。

せっかくヴァージルに作ってもらったのにキャンセルしましたもんね。

ヴァージルもクレアの虜じゃなかったらめっちゃ怒ってたと思います。

周りのお客さんたち、めっちゃ引いてた(笑)

 

 

◆伏線&解説 2:ロバート編

最初はオートマタにしか興味がなかったのに、必要以上にヴァージルにクレアのことを推したり、恋人のサラにクレアのことばかり言ってみたり、いきなり他人の恋話には興味ないと言ってみたり、かなりヴァージルを煽る言動が多かった。

極め付けはクレア編でも書いたが隠し部屋の存在を促すところでしょうね。

 

◆伏線&解説 3:ビリー編

この詐欺の首謀者はビリーで間違いないです。

ヴァージルの肖像画の存在はビリーしか知らないです。

 

◇ヴァージルに白髪染めをやめやせた

作中ではクレアが電話でヴァージルにお願いするのだが、おそらくこれはビリーのヴァージルへの意地悪でしょうね。

贋作=白髪染めといった伏線の1つ。

 

◇自分の才能を認めない友人に何度も忠告していた

ビリーは自分の絵画を認めてほしく、何度も確認(忠告)していたんです。

「自分の絵を認めてくれなかった」と嘆くビリーに、ヴァージルは「君には内なる神秘性が足りない」と一蹴するのです。

最後の別れのシーンでも同じようなやり取りがありました。

さらにビリーが描いたクレアの母の肖像画(実際にはクレアの肖像画)を見た時も大した絵じゃないとバッサリ!(誰が描いたかはこの時点では知らなかった)

そして、最後にビリーから送られてきたのがクレアの肖像画だったんです。

かなり執念深い恨みがあったんでしょうか・・・、それとも、一言でもいいので認めて欲しかっただけなのか・・・。

 

◆伏線&解説 4:フレッド編

使用人のフレッドが家のことを知らなすぎる。

案内はするが部屋数も把握してないし、隠し部屋のことも知らなかった。おとぼけキャラでわかりにくいキャラクターだった。

意外にこのひとの存在が観る側をややこしくしている。何にしても詐欺のグルだったことは確かです。

 

◆伏線&解説 5:本物のクレア編

クレアの家の向かいにあるカフェにいつもいる小さい女性が意味深な数字を言っているシーンが何度か差し込まれます。

その数字には意味があり、ヴァージルに「231」と言っているシーンがあるのです。この「231」はクレアが外に出かけた回数だったんです。

そして、なんとこの人が本物のクレアだったんですね

使われていた家もこの人所有のものでたまに何かの撮影に使うため貸したりしていたんです。

 

【感想とまとめ】

美術品に関してはどんな贋作をも見抜く 最高の鑑定士 である ヴァージル が女性に対しては全くの無知であり完全に騙される様は まさに痛快だった。

心から愛したクレアには完全に騙され、折角収集した肖像画も根こそぎ持っていかれ バッドエンド で完結していますが、実はヴァージル視点で考えると一概にそうとも言えないと思います。

今まで他人のことを信じず、女性を愛したことがないヴァージルにとってはクレアからの愛が嘘だったとしても人を愛することができたこと。

そして、唯一の真実「ナイト&デイ」というカフェが実在していたこと。それだけでヴァージルの心が救われたのでは…と思いたいです。

そうじゃないとあまりにも可哀相な結末です。

 

前半~中盤までの演出や音楽、映画の雰囲気は完全に上質な大人の恋愛ドラマだと感じさせて、そこからの 急転直下 は見事でした!

2回目鑑賞では、かなりの伏線の多さにも驚かされます。2回以上の鑑賞がお勧めです。

 

しかし、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の代表作であり、私のベスト映画の1つ『ニュー・シネマ・パラダイス』と比較してしまうと物足りないです。

それとちょっと残念なのが、1回目観た後にモヤモヤしちゃうことです。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。