映画『インファナル・アフェア』は2002年に香港で公開された映画で日本でも大ヒットした映画です。
その後、ハリウッドでリメイクされた映画『ディパーテッド』は外国映画のリメイク作品として、史上初めてアカデミー賞作品賞を受賞しました。さらに日本でも『ダブルフェイス』(ドラマ作品)として、リメイクされました。
そんな名作シリーズをオリジナル版3部作、リメイク版2作品を丸々紹介いていきます。全部まとめて一気に書くとかなり長くなるため、作品紹介は1作品づつしていきます。
ご興味のある方は、気ままにゆっくり読んでいただければ幸いです。
『インファナル・アフェア』シリーズ(リメイク含む)の全タイトル一覧
本家の香港版シリーズ
・インファナル・アフェア 無間道/2002年・香港
ハリウッド版リメイク作品
日本版リメイク作品
・ダブルフェイス/2012年・日本
※この作品は映画ではなく、TBSとWOWOWが共同制作したスペシャルドラマとして放送されたものです。
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以上が全シリーズ+リメイク作品となります。
まずは、本家の『インファナル・アフェア』1作目の映画紹介をしていきます。
すべての物語はここから始まった・・・
【作品情報】
2002年公開(日本では2003年公開)
完璧な脚本とスリリングな演出で、香港映画の最高傑作と言われる作品です。
主演の2人(アンディ・ラウ、トニー・レオン)は、1990年公開の『欲望の翼』以来の共演ということで当時でも話題となりました。
《スタッフ》
◆監督・・・アンドリュー・ラウ/アラン・マック
◆脚本・・・アラン.マック/フェリックス・チョン
◆音楽・・・コンフォート・チャン
《キャスト》
◇アンディ・ラウ/役名:ラウ
[プロフィール] 1961年9月27日生まれ
幼少期より芸能活動をしていて、俳優養成所を卒業後映画デビュー。その後、ジャッキー・チュン、アーロン・クオック、レオン・ライとともに香港四天王と呼ばれており、今までの出演映画は100本を超えている。
[出演映画]
『酔拳2』、『酔拳3』、『Needing You』、『LOVERS』、『新少林寺』、『三国志』など
◇トニー・レオン/役名:ヤン
[プロフィール] 1962年6月27日生まれ
香港の俳優養成所に入り、芸能界に入る。80年代には多くのテレビドラマに参加すると、1990年に『Bullet in the Head』に主演。
1『恋する惑星(1994)』などの映画で日本でも人気となる。
今までにさまざまな映画賞を受賞する国際俳優として活躍している。
[出演映画]
『月夜の願い』、『恋する惑星』、『シクロ』、『HERO』、『ラストコーション』、『レッドクリフ』など
【その他の主要キャスト】
◇アンソニー・ウォン/役名:ウォン警視
◇エリック・ツァン/役名:サム
◇エディソン・チャン/役名:若き日のラウ
◇ショーン・ユー/役名:若き日のヤン
◇サミー・チェン/役名:マリー
◇ケリー・チャン/役名:ドクター・リー
◇チャップマン・トウ/役名:キョン
【あらすじ】
1991年。香港マフィアのサムは、ストリート育ちの青年ラウをスパイとして警察学校に入れる。それと同じ頃、警察学校長とウォン警視はヤンに目をつけ、潜入捜査官としてマフィアの世界に送り込みます。
そして、2人の青年はその優秀な能力で組織の中で台頭していった。
10年後、警察に送り込まれたラウは順調に昇進もしており、地位を利用してボスのサムに情報提供をしていた。
そのころ、ヤンはマフィアへの潜入捜査で疲れた日々を送っていた、唯一の安息できる場所は精神科ドクター・リーの診察室だけだった・・・。
【みどころ】
この映画はなんといってもその秀逸な脚本からなる物語が最大のみどころです。
・原題の「無間道」の意味とは?
・撮影地の香港の街並みが異国情緒あふれて魅力的です
・あまり触れられていませんがBGMのセンスが最高なので要チェックです
【ネタバレ感想】
今回この記事を書くために久しぶりに鑑賞しましたが、時が経っても最高の映画だなと感じました。
ちなみにこのシリーズ(リメイク作品を含む)は公開順に観ることを強く勧めます。
リメイク版は(特にハリウッド版)は雰囲気が結構違うので、後から鑑賞しないとオリジナル版の世界に浸れないかもです。
※ここから先の感想にはネタバレが多く含まれますのでご注意ください。
先ず2人が警察学校にいるシーンで、ヤンが警察学校から出るところのラウの表情がすごい印象的でした。
本当はラウ自身が最初から自由になりたいという願望があったのではと感じさせる場面だった。もしかしてラウはこのときすでに悪と善の間をさまよっていた?
10年後の2人は対照的な生活を送っていた。
順風満帆のラウに対してヤンはマフィアへの潜入捜査が長く続いていてかなり疲弊していた。
それでもヤンは正義感をもって任務についており、特に印象的だったのが誰にも見えないところで警察にヤンが敬礼するシーン、何回か視聴している私にはちょっと泣けてくるシーンのひとつです。
そのヤンが唯一こころをやすめる場所が精神科リーの診察室なのだが、このときのヤンの表情の緩み方とラウがマリーと過ごしているときの表情が同じようで何か違う印象を与える。やはりヤンの苦悩ばかりが目立つ。
そして、ヤンを唯一警察だと知っているウォン警視が殺されてしまうのだが、車の上に落ちてきたウォン警視を見るヤンの絶望的な表情には見ているこちらが「うわー、なんでやー」ってなります。
その後、ラウはヤンと手を組み、自分のボス(サム)を自らの手で殺す・・・。
ラウはウォン警視の死とヤンの存在で、今までは迷っていたが善の道を自ら選ぶ。
しかし、ラウは自分の親同然のボス(サム)を殺しているので善を選んだようで完全な悪になった?のかなと思った。
そして、ヤンはラウに自分を警察に戻すようお願いする。
その時にラウがマフィアのスパイだということに気付く・・・。
お互い同じような境遇だが、ヤンは真の善を持っていて、ラウの真実をマリーに知らせる。そして、自分の唯一の存在であるリーに自分の素性を明かす・・・。
ヤンは悪に堕ちることなく善を突き通す。ラウは自分の善のため悪になった。同じ境遇で全くことなる道を選ぶ2人・・・ラウは”無間道”へ・・・
ここから先には衝撃の展開があるのですが、本当の完全なネタバレになるので自分の目でみて、自分の心で感じてください。
「無間道」とは、簡単に言うと仏教でいう無限地獄のことで、一度入ると抜け出せない、絶え間なく続く苦しみを指す。
生き残ったラウは”無間道”へ・・・死んだヤンは”死して本望を遂げた”のでは、と考えます。
これこそが、この映画の真髄です。
【まとめ】
この作品は、2人が主人公の映画で2人の視点で描かれており、2回以上観てそれぞれの視点でみるとその人物の心情がすごく伝わるようになります。
なんといっても脚本がヤバいレベルで、なかなかこのレベルの作品に出会えることはないので本気でオススメです!!
それにプラスして、ストーリーの進行が素晴らしく、アクションが少なくてもどんどんと物語に引き込まれていきます。
香港ノワールの決定版にして最高傑作の映画です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。