『少年と犬』は、震災で迷子になった一匹の犬が、傷ついた人々の心を癒していく感動の物語です。
直木賞作家・馳星周の名作を、『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化。高橋文哉と西野七瀬が主演を務め、震災後の日本を舞台に、人と犬の絆を通じて希望と再生を描き出します。
斎藤工、柄本明ら実力派俳優陣も脇を固め、犬・多聞の5年にわたる旅路が、観る者の心に深い感動を呼び起こす。
この記事では、映画『少年と犬』の魅力を徹底解説!
映画の見どころや注目ポイントを、5つに分けてわかりやすくお伝えします。
✅原作小説の魅力を徹底解説!
✅瀬々敬久監督が描く人と犬の絆
✅豪華キャストが演じる心温まる物語
✅映画の見どころをたっぷり紹介
✅ロケ地情報もたっぷり紹介!
ゆるくも徹底的に映画紹介する記事となっておりますので、ぜひ最後までお気楽にお楽しみください。
1.原作小説「少年と犬」の魅力を徹底解説
『少年と犬』は、馳星周の直木賞受賞作として、2020年に発表され、大きな話題を呼びました。累計発行部数は50万部を突破しています。
1-1. 原作者について
馳星周は1965年2月18日に北海道浦河町で生まれた日本の小説家です。1996年に『不夜城』でデビューし、吉川英治文学新人賞と日本冒険小説協会大賞を受賞しました。その後も『鎮魂歌』で日本推理作家協会賞、『漂流街』で大藪春彦賞を受賞するなど、数々の賞を獲得しています。
長年ノワール小説の作家として知られていましたが、近年は山岳小説なども手がけています。2020年、7度目のノミネートで『少年と犬』により第163回直木賞を受賞しました。
『少年と犬』は、東日本大震災で迷い犬となった多聞を主人公に、さまざまな背景を抱えた人々と犬の多聞(たもん)の触れ合いを描いた6つのエピソードを綴った短編連作小説です。
1-2. 心を癒す犬との触れ合い
多聞は様々な境遇の人々に寄り添い、彼らの心の傷を癒していきます。犬ならではの無条件の愛と忠誠心が、人間社会の複雑さや困難さと対比され、深い感動を与える。
多聞との触れ合いを通じて、登場人物たちが心の癒しや生きる勇気を得る様子が丁寧に描かれています。
1-3. 多様な視点で描かれる人間模様
本作の特徴は、多様な人物の視点から物語が展開されることです。男、泥棒、夫婦、娼婦、老人、少年など、様々な境遇の人々が登場し、それぞれが抱える問題や葛藤が描かれます。多聞との出会いを通じて、彼らの内面や人生が浮き彫りになっていきます。
1-4. 震災からの旅路
多聞の旅は、震災で被災した岩手県釜石から始まり、5年かけて熊本まで続きます。この長い旅路は、震災後の日本社会の変化や復興の過程を象徴しています。
多聞が出会う人々との交流は、それぞれの地域の特色や問題を浮き彫りにし、日本各地の姿を映し出します。
1-5. リアリティと感動のバランス
本作は、震災後の日本社会が抱える問題を鋭く描き出しながらも、人と犬の絆を通じて心温まる展開を見せます。
現実的な社会問題や人々の苦悩を描きつつ、多聞との触れ合いによって生まれる希望や癒しのバランスが絶妙です。この現実と理想のバランスが、深い共感を呼び起こし、単なる感動物語以上の奥深さを作品に与えています。
1-6. 希望を感じさせる結末
物語の終盤で明かされる、多聞とある少年との約束は、深い感動と希望を与えます。この約束は、多聞の長い旅の真の目的を示すとともに、人と犬の絆の強さを象徴しています。
結末は単なるハッピーエンドではなく、震災を乗り越え、新たな未来へ向かう日本社会の姿を暗示しており、勇気と前向きな気持ちをもたらします。
2.映画の基本情報
ここでは、映画の基本情報とスタッフについて詳しく紹介します。
2-1. あらすじ
東日本大震災から半年後の仙台。職を失った和正(高橋文哉)は、震災で飼い主を亡くした犬・多聞を飼うことにするが、多聞はことあるごとに南の方角を見つめていることに気付く。多聞と絆を育む和正だが、窃盗団に関与したことで事件に巻き込まれ、その混乱の間に多聞は姿を消す。その後多聞は滋賀で美羽(西野七瀬)という女性と過ごしていたが、そこへ多聞の後を追ってきた和正が現われる。二人と1匹の生活が始まるものの、多聞は和正と美羽のもとを離れ、南の方角を目指して歩き始める。(シネマトゥデイより引用)
2-2. スタッフ紹介
監督 | 瀬々敬久 |
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脚本 | 林民夫 |
原作 | 馳星周 |
企画プロデュース | 平野隆 |
プロデューサ | 下田淳行/刀根鉄太/辻本珠子 |
撮影 | 鍋島淳裕 |
音楽 | 小瀬村晶 |
主題歌 | SEKAI NO OWARI 「琥珀」 |
監督の瀬々敬久は、『ラーゲリより愛を込めて』や『64-ロクヨン-』などで知られる実力派です。本作では、原作の世界観を大切にしながら、人と犬の絆を通して震災後の日本社会を描くことに挑戦しています。
脚本の林民夫は、1991年にテレビアニメ『サザエさん』で脚本家デビュー。その後、アニメや特撮のシリーズ構成を手がけるなど幅広い経験を積みました。2006年以降は劇場映画の脚本にも携わり、『永遠の0』では第38回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞しています。
映画『少年と犬』の主題歌は、SEKAI NO OWARIの「琥珀」です。ピアノ、弦、オーボエを中心としたシンプルなアレンジが、優しくも力強いメロディを引き立て、映画の世界観と深く響き合っています。
3.キャストと登場人物の紹介
和正 …高橋文哉
震災後に職を失った青年。多聞との出会いが人生を変える。
美羽 …西野七瀬
滋賀で多聞と暮らす女性。悲しい秘密を抱えている。
多聞 …(犬)
震災で飼い主を亡くし、南を目指して旅を続ける犬。
内村徹 …斎藤工
多聞にとって大切な人物である光の父。
内村久子 …宮内ひとみ
内村徹の妻。
片野弥一 …柄本明
不治の病に侵された猟師。
中垣麻由美 …伊原六花
和正の姉。認知症の母を介護しながら働く。
沼口正 …伊藤健太郎
和正に危険な仕事をあっせんする先輩。
本作のキャストには嵐莉菜、木村優来、柳俊太郎、一ノ瀬ワタル、江口のりこ、渋川清彦、美保純、眞島秀和、手塚理美、益岡徹も名を連ねています
。
4.映画の見どころ
ここでは、映画をより楽しむための見どころを紹介します。
4-1.人と犬の絆を描く感動のドラマ
本作の核心は、震災という過酷な状況下で育まれる人と犬の絆です。多聞が様々な境遇の人々と出会い、彼らの心に寄り添い、癒しを与えていく過程が丁寧に描かれる。
犬の無条件の愛と忠誠心が、人間社会の複雑さや困難さと対比され、観客の心を揺さぶります。
多聞との触れ合いを通じて、登場人物たちが心の傷を癒し、生きる勇気を取り戻していく様子が、繊細かつ力強く表現されています。
4-2.豪華キャスト陣の演技
高橋文哉と西野七瀬が演じる主人公二人を中心に、斎藤工、宮内ひとみ、柄本明など、日本を代表する実力派俳優陣が脇を固める。各俳優が、震災後の複雑な心境や背景を持つキャラクターを見事に演じ分け、物語に深みと説得力を与えています。
特に、人間と犬の関係性を表現する上で、俳優たちと犬役の動物との息の合った演技が見どころ。
この豪華キャストの演技力が、原作の世界観を見事に映像化することに成功しています。
4-3.震災後の日本社会を描く社会派作品としての側面
『少年と犬』は、心温まる感動ドラマでありながら、震災後の日本社会の姿を鋭く描き出す社会派作品としての一面も持っています。
多聞の旅を通じて、被災地の現状、復興の過程、そして人々が抱える苦悩と希望が描かれます。震災によって露呈した社会の問題や、コミュニティの崩壊と再生など、現代日本が直面する課題にも切り込んでいます。
同時に、困難を乗り越えて前に進もうとする人々の姿を通じて、希望のメッセージも込められており、観客に深い洞察と勇気を与える作品となりました。
5.撮影ロケ地と舞台裏エピソード
『少年と犬』の撮影は、滋賀県を中心に日本各地で行われました。多聞の旅路を辿るように、美しい日本の風景が映し出されています。
5-1. 滋賀県:琵琶湖の新たな魅力を発見
「一目で滋賀と分かる場所」をテーマに、琵琶湖の新たな魅力を引き出せるスポットを徹底的に探索。その結果、びわ湖バレイ、マイアミ浜オートキャンプ場、比叡山ドライブウェイ夢見が丘、琵琶湖大橋といった印象的なシーンが撮影されました。
特筆すべきは2024年3月後半の撮影時のハプニング。季節外れの雪が降り、ロケ地が一面の銀世界に。スタッフ総出で雪かきを行いましたが、その努力が実を結び、息をのむような美しい映像が完成しました。
5-2. 熊本県:物語の終着点を彩る
予告映像に映し出された熊本城をバックに走る路面電車の風景は、多聞の長い旅の終着点を象徴しています。熊本の街並みが、物語のクライマックスを印象的に演出する。
5-3. その他のロケ地:日本各地の魅力を凝縮
宮城県仙台市:震災後の風景を描いた重要なシーンが撮影されました。
埼玉県深谷市:川本総合支所跡で、ある重要なシーンが撮影されました。
東京都日野市:実践女子大学日野キャンパスでも撮影が行われました。
これらの多様なロケ地が、多聞の旅路と人々との出会いを豊かに描き出しています。監督の瀬々敬久は「各地の風景が、登場人物たちの心情を映し出す鏡となっている」とコメントしており、ロケ地選びにも細心の注意が払われたことがうかがえます。
映画『少年と犬』は、これらの美しいロケ地と心温まるストーリーが融合し、まさに”日本の風景と心の旅”を描いた作品となりました。
6.まとめ
映画『少年と犬』は、馳星周の直木賞受賞作を原作とした心温まる感動作です。高橋文哉と西野七瀬が主演を務め、震災後の日本を舞台に、人と犬の絆を通じて希望を描き出す。
瀬々敬久監督の繊細な演出により、原作の魅力を最大限に引き出した作品となっています。豪華キャストの演技と、多聞役の犬の魅力が相まって、観る者の心を揺さぶる。
震災という困難な状況下での人々の苦悩と希望、そして犬との絆を描きながら、現代日本社会の姿を映し出す社会派作品としての側面を持っています。
撮影は宮城県、滋賀県、熊本県など、多聞の旅路を辿るように行われ、各地の風景が物語に深みを与えています。