どうも、こんにちは。
今回は映画『TENET テネット』の徹底解説と考察をしていきます。
2回目以降の鑑賞に予習用としてお役立てください。
この映画は難解で一回観ただけでは ”?” がたくさん頭に浮かんだんじゃないでしょうか。
このブログを読んだ後、映画を観ていただくと”?” が ”!” に変わるはずです!
さらに新しい発見もたくさん出てくるはずです!!
※完全ネタバレなので、一度観てから読むことをおすすめします。
【完全ネタバレあらすじ】
物語を分かりやすくするため、”あらすじ”を完全ネタバレ でまとめました。
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現代より何世代も先、地球は環境破壊により人類が住めない環境になっていました。
そこで、未来人は生き残りをかけて「時間逆行」を使って何とかしようとしたのですが、基本的に時間は 順行 でも 逆行 でも 同じだけの時間が経過 してしまうので、人が何世代も逆行するのは不可能となるのです。
アンドレイ・セイターは1970年代ごろに、旧ソ連のスタルスク12で未来人からのメッセージを見つけました。
その内容は、富(金塊)と引き換えに9つのアルゴリズムを集めさせるということでした。
未来人は9つのアルゴリズムを集めて、全ての時間を 逆行させようとしたのです。
そうなると、現代人と未来人で「第3次世界大戦」をすることになってしまい、現代人は絶滅してしまいます。
この映画は、その企てを阻止しようとする組織「TENET」の物語です。
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そして、物語は冒頭のオペラ劇場でのテロシーンとなります。
すでにこのときセイターは、8つのアルゴリズムを集めていました。
ここで、ピンチとなった主人公を助けたのは ニールでした。(リュックに穴あきコインのストラップ付いてましたもんね)
しかし、主人公は敵に捕まり情報を漏らさないために自殺ピルを飲みこみます。
謎の組織「TENET」に救出された主人公は、ここで「逆行」,「未来人」,「第3次世界大戦」について知ります。
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新たなミッションを遂行するため、逆行銃のありかを追ってムンバイへ行きます。
そこでプリアに会うために、ヨットクラブでニールと運命の出会い(再会)をしました。
主人公にとっては初対面のようですが、実はニールは主人公の指示で近未来より現代に逆行してやってきたのです。
※ここでのニールの言動はかなり重要なので注目してみてください
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プリアからセイターの情報を得た主人公はキャットと面会するため、クロズビーからアレポが描いたゴヤの贋作を受け取ります。
キャットと面会した主人公は、その贋作で夫(セイター)からの弱みを握られていることを知っています。
キャットと贋作を描いたアレポがデキていたと言っていますが、真相は分かりません。
その弱みである贋作を処分すれば、セイターと取り次いでくれると約束します。
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主人公とニールは贋作を処分するためフリーポートへと向かいます。
そこには贋作はなく、逆行兵が現れたのでした・・・。
※その逆行兵は未来の主人公だったんです
贋作を処分したと嘘を言い、主人公はこの作品最大の敵役であるセイターと面会し、
プルトニウム241の強奪作戦を持ちかけました。
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完全ネタバレの ”あらすじ”はこの辺で。
あらすじって言いながら、少し書きすぎましたね(笑)
【タイムラインの整理】
この映画をすごく難しく感じるのは、主要キャラが逆行したり、順行したりと縦横無尽動きまくってみえるからでしょう。(特にセイターがややこしくみえますよね)
しかし、実際にはそんなに動きまくっているわけじゃないんです。
最初に言っておくと、この映画は始まり(冒頭のオペラ劇場)も終わり(ベトナムでキャットがセイターを殺すシーン、最終決戦)も全て 14日 の同じタイミングなんです。
ここは絶対に押さえてくださいね。
主要キャラ毎にタイムラインを整理して、どこで順行と逆行をしたか確認します。
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1.主人公
① 14日のキエフ・オペラ劇場での爆発テロから、キャットがセイターに撃たれるシーンまではずっと順行です。
②撃たれたキャットを助けるためカーチェイスをするシーンまで逆行します。
ここで主人公はプルトニウム241の回収と未来で起きたキャット銃撃を防ごうとしますが、失敗に終わります。
③キャットを治療するため、オスロ空港で飛行機爆破するところまでさらに逆行します。
ここで、空港であった逆行兵が自分自身だったことに気づきます。
④飛行機爆破に紛れて、空港にある逆行装置で順行します。
⑤9つのアルゴリズムを揃えたセイターが、スタルスク12で起動することを特定したので、最終決戦まで逆行します。
⑥最終決戦から最後のシーンまでは、そのままずっと順行でした(終わり)
[まとめ]実は、主人公は逆行を計3回しかしていません。
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2.ニール
①オペラ劇場で主人公を助けるところまで未来から逆行してきました。
②主人公と仲間になり、最終決戦まで主人公と同行しています。
③最終決戦で逆行チームに加わります。
④最終決戦の途中で主人公が罠にハマりそうになっていたので、ここで順行しました。
⑤車でクラクションを鳴らして主人公に警告しますが失敗します。
そして、アルゴリズムを奪い返した主人公たちを救出した。
⑥人類を危機から救ったニールですが、最後の扉の鍵あけと主人公の命を守るために死ぬと分かっていながらも逆行するのです。(ここは映画に描かれていません)
[まとめ]ほとんど主人公と同じですが、未来から逆行してきた+最終決戦の時の動きが違うだけです。
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3.キャット
①主人公にゴヤの贋作をみせられるところから、セイターに撃たれるまで順行です。
②治療のため、オスロ空港に逆行します。(担架にのったまま)
③飛行機爆破に紛れて、空港にある逆行装置で順行します。(担架にのったまま)
④セイターがベトナムの船の上でアルゴリズムを起動することを特定したので、そこまで逆行します。
⑤そこで、キャットはセイターを殺害します。
そのまま最後のシーンまでずっと順行。
[まとめ]キャットはセイターに撃たれ、治療が終わるまで担架のままなので、自分で逆行したのは14日のベトナムの船の上だけです。
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4.セイター
①アマルフィで主人公と会ってから、妻のキャットをフリーポート(テナン)で殴るまで順行。
②キャットを殴った後に逆行します。主人公からカーチェイスの末、プルトニウム241を奪い9つのアルゴリズムを揃えたセイターはそれを起動させるために選んだ 14日のベトナムの船の上までさらに逆行しました。
③最後を穏やかなベトナムの船の上で過ごすためやってきた所、未来から来たキャット(セイターに銃撃された)に撃ち殺されてしまいます。
[まとめ]ややこしい動きをしているようにみえましたが、実はプルトニウム241奪うために逆行して、そのまま14日のベトナムの船まで逆行していただけなんです。
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5.まとめ
主要キャラのタイムラインを一人づつ整理すると、実はそんなにややこしい動きをしていないんです。
しかも、この映画で描かれたのは意外に短い期間の出来事なんですよ。
始まりの 14日 冒頭のオペラ劇場、ベトナムでキャットがセイターを殺害、最終決戦が 同じぐらいのタイミング起きる ⬅【この間で全てのことが起きている】➡ キャットがセイターに銃撃されるシーン(ラストシーンは除いて)
【考察】
ここからは、この映画を完全攻略するための ヒント となるような考察を紹介していきます。
※考察と言いながら、多くの推測も含んでいますので注意してくださいね
【色分けにもヒントが隠されていた】
映画をみるためのヒント1つに「赤」と「青」の色分けがあります。
では、どこが色分けされていたでしょう?
確認してみましょう。
1.逆行装置(回転装置)
回転装置以外にも部屋を色分けしてマーキングしてあった
赤 = 「順行」、青 = 「逆行」
2.最終決戦
服に付ける腕章と腕時計の文字盤の色
赤 = 「順行チーム」、青 = 「逆行チーム」
3. ワーナー・ブラザースのロゴ
オープニングでは「赤」、エンドロール後では「青」となっていました。
ここまで、こだわるとは・・・。
ニールの最後のセリフで、”ここが中間地点” と言っていますがこれは、この物語自体が中間地点ということだと思います。
ワーナー・ブラザースのロゴの色「赤」「青」で、この映画の物語を「中間地点」と表現しているんですね。
くぅ~、シャレてますね~。
【映画のタイトル『TENET』に隠された意味】
次はタイトルである『TENET』についての考察です。
1.SATOR式ラテン語回文とは?
タイトルの「TENET」はラテン語回文で、SATOR式とよばれるものです。
「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」 で、意味は「農夫のアレポ氏は馬鋤きを曳いて仕事をする」となる。
四方どこからでも、逆から読んでも回文になりますよね。
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「SATOR」=悪役 アンドレイ・セイター
「AREPO」=ゴヤの贋作を描いた トマス・アレポ
「TENET」=この映画のタイトル
「OPERA」=冒頭のテロの舞台となった オペラ 劇場
「ROTAS」=オスロ空港のフリーポート管理会社 ロータス 社
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こうなるとパズルゲームのようですね。
セイター式ラテン語回文という名前が、まさに セイター が世界の時間を逆行しようとしていることを暗示してるようにみえますね。
2.アクションビジュアルに隠された秘密
⬆これは世界各国のアクションビジュアルです。
12カ国分のビジュアルの内、ロシアだけが「TENET」じゃないんです。
「TENET」の意味は、「主義、信条、原則」という意味があるのに対して、ロシア版に記載してある「довод」は、英語で「Argument」で、「議論、討論、討議」という意味があるようです。
本作の悪役アンドレイ・セイターはロシアの武器商人なんですよね。
タイトルのビジュアルですでに “暗示” していたんです。
※この記事の一番上にロシア版のアクションビジュアルの画像があります
3.『TENET』に隠された本当の意味
「TENET」の”表向き”最大の意味は、最終決戦の”10分間の挟撃作戦”でしょう。10分の「TEN」を、両側から読む(両側から挟み撃ちする)と「TENET」になります。
普通ならこれだけの意味があれば、おー!ってなりますよね。
しかし、ノーラン監督はさらに隠れた意味を用意していました。
※ここからは私個人の推測に過ぎないのでご了承ください
みなさんはニールの年齢はいくつで、どれぐらい先の未来から来たか予測しましたか?
これは、世間で有力視されている「ニール=マックス」の裏付けにもなると思います。
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仮定1:現代のマックスの年齢は10歳
仮定2:未来からきたニールの年齢は30歳
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⬆の仮定から計算すると、ニールは20歳の時から10年もの間修行しながら逆行してきたことになりますよね。
そうなんです…。タイトルの『TENET』に隠された10(TEN)の回文の”裏向き”最大の意味はニールのことだったんです!
ここからはさらに推測になりますが…、ニールと主人公は最後の別れのシーンで「遠くから見ている…」というような事をお互いに言うんですが、これはニールが何度も主人公を助けるという事を表しています。
そして主人公も、まだ子供のマックス(=ニール)を見守り続けていくという意思表示をしたんじゃないかと思いました。
めちゃくちゃ感動しますよねー。
もしそうだとすると、ニール(マックス)は死ぬと分かっていて主人公を助けるため未来から逆行してくるんですよ。
そして、それを分かっていながらも「第3次世界大戦」を防ぐため、ニールを送り出す主人公…。
うわぁー!…..もうめっちゃ泣けます!
【まとめ】
ヒントが少なく伏線がかなり多い映画ですが、きちんと整理してから観れば、意外にシンプルな物語なんです。
そのヒントを見つけるのは難しいです…。 けれどそこが、ノーラン映画の面白い理由でもあります。
ここで書いた以外にも、まだまだ隠された秘密があると思いますので、何度も観て自分なりの考察をして楽しんでください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。