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映画『罪の声』ネタバレありあらすじで徹底解説

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どうも、こんにちは。ズバ男です!

本日は『罪の声』をネタバレあらすじで徹底解説していきます。

※完全に”ネタバレ”なので未鑑賞の方はご注意ください

最後まで油断できない無駄のないストーリーに感動しっぱなしで、真実を超えたリアルを体感できる映画でした!

【作品情報】

この映画『罪の声』は塩田武士の同名小説を映像化したもので、1984年、1985年に起きたグリコ・森永事件をモチーフにした作品です。

一連の事件の 発生日時や場所、挑戦状や脅迫文、報道内容は史実とおり書いてある。

 

◆スタッフ

◇監督:土井裕泰

TBS製作のテレビドラマに多く携わり、映画監督としても『ビリギャル』などヒット作を次々と製作しているTBSのエースとも言われるヒットメーカー。

 

◇脚本:野木亜紀子

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』などでも有名な超人気脚本家。特に原作を活かした脚本には定評がある。

 

◇撮影:山本英夫

日本アカデミー賞優秀撮影賞を5度も受賞している日本屈指の撮影監督で数多くの映画に参加している 。

 

◇原作:塩田武士

新聞社勤務の時に将棋担当者としての経験を活かして執筆した『盤上のアルファ』が小説現代長編新人賞を受賞し2011年に同作で作家デビューした。本作の原作となった同名小説で山田風太郎賞し2016年「週刊文春ミステリーベスト10」で1位に選ばれ注目される作家となる。

 

◆主要キャスト

◆阿久津英士の関係者

阿久津英士:小栗旬

水島洋介(元社会部記者):松重豊

鳥居雅夫(社会部デスク):古館寛治

葵(阿久津の姉):須藤理彩

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◆曽根俊也の関係者

曽根俊也:星野源

子供の曽根俊也:甘詩羽(かむしう)

曽根亜美(俊也の妻):市川実日子

曽根光雄(俊也の父親):尾上寛之

曽根真由美(俊也の母親)梶芽衣子

若き日の真由美:阿部純子

曽根達雄(俊也の叔父):宇崎竜童

若き日の達雄:川口覚

河村和信(スーツの仕立て屋):火野正平

藤崎勝(達雄と光雄の幼なじみ):木場勝己

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◆生島一家

生島秀樹(元警察官):阿部亮平

生島望(生島の娘):原菜乃華

生島聡一郎(生島の息子):宇野祥平

子供の総一郎:石澤柊斗

学生時代の総一郎:杉田雷麟(らいる)

生島千代子(生島の妻):篠原ゆき子

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◆その他

ハヤシ(キツネ目の男):水澤紳吾

青木龍一(青木組組長):山口祥行

佐伯肇(し乃の板長):橋本じゅん

ニシダ(仮名)(株売買でその筋の大物):塩見三省

立花幸男(元証券マン):堀内正美

 

【完全ネタバレありあらすじ】

ここでは完全にネタバレしながらストーリーに沿って徹底解説していきます。(感想も交えています)ネタバレはピンク色元ネタは緑色感想は青色》で色分けしてあります。後半はほぼネタバレとなります。

※ここからは本当にネタバレなので映画を観てない方は注意してくださいね

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すべてのはじまりは1984年に起きたギンガ社長(江崎グリコ社長)誘拐事件である。

事件は時効を迎え、時は35年経ち平成の元号がもうすぐ終わろうとしていた。

大阪のある大日本新聞社の阿久津英士は昭和最大の未解決事件「ギン萬事件」(グリコ・森永事件)を追う特別取材班に選ばれる。社会部デスク鳥居の情報でロンドンに向かった阿久津は怪しい中国人の情報を聞きつけます。←この中国人の情報こそが曽根達雄の事ですね

その中国人曽根達雄と交際していたソフィを訪ねますが、「中国人の知り合いはいない」と言われます。このソフィっていう人嘘はつきません。達雄は日本人ですもんね。

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京都にある「テーラー曽根」の店主・曽根俊也はクリスマスツリーの飾りつけを探しているとき偶然に、父・光雄の名前が書かれた箱を見つけます。箱の中には昔に俊也が遊んでいた「ギンガのおまけの車のおもちゃ」をみつけ懐かしんでいると、「1984と書かれたカセットテープ」と「英語で書かれた手帳」に気づきました。

そのテープを再生すると自分の子供の頃の声が録音されていました。聴いていると途中で口調が違う子供の頃の俊也の声で「きょうとへむかって・・・」と棒読みの音声が入っていました。実際の事件でも「子供の声」は使われていました。この声めっちゃ頭に残るように演出されていますよねー。観終わった後もしばらくエンドレスでした(笑)

手帳をみると「GINGA」(ギンガ↔グリコ)と「MANDO」(萬堂↔森永製菓)という文字を見つけます。←この手帳は達雄のものです 気になった俊也はインターネットで調べると、「ギン萬事件」に使われた子供の音声とテープに入っている自分の声が全く同じだと気付く・・・。「俺の声だ」。星野源の抑えた演技がリアルさを演出していましたね

俊也はテープと手帳を調べるため、父・光雄と付き合いが長い仕立て屋の河村(火野正平)に話を聞きました。火野正平さんめっちゃ存在感ありますよね そこで俊也は祖父の死が「ギンガ」と繋がっている事と死んだと思っていた叔父・達雄が生きている事を聞かされた。祖父の死で達雄はギンガへ恨みを持つようになり、反体制の運動などにも参加するようになる

次に俊也は光雄と達雄の幼なじみである藤崎(木場勝己)に出会いました。そこで一枚の写真を見せられます。そこには柔道着姿の若き日の光雄と達雄の姿がありました。そして達雄から最後に連絡があった場所が小料理屋「し乃」だと聞き、大阪堺に向かいました。木場勝己さん渋いです

「し乃」の板長(橋本じゅん)は「ギン萬事件」と聞き顔色を悪くします。しかし俊也が自分の声が犯行に使われた「子供の声」だと告げると、板長の重い口から小料理屋「し乃」で犯人グループ「くら魔天狗」(かい人21面相)の会合が行われていたと聞きました。最初は絶対何も言わないという感じだったが話し出したら止まらない勢いだった(笑) そこには達雄を含め複数の男たちがいたようで、その中に耳がつぶれた(柔道をしていた)男(生島秀樹)がいたことを知ります。

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出典元:罪の声 : フォトギャラリー 画像(12) – 映画.com

その男は元警察官の生島秀樹で当時中学生の娘(望)と息子(聡一郎)がいました。この2人が残りの「子供の声」の主です

そして俊也は、望の当時の担任教師に会いに行きました。そこで生島一家が突然いなくなったことを知らされます。

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ロンドンから帰ってきた阿久津は事件当時の記者だった水島(松重豊)から過去の資料やメモを入手する。そこでギンガ株の外人買い(ロンドンで)が進んでいるとの情報をみつける。

当時を知る証券マン・立花(堀内正美)に会うと、その証券マンはギンガ株の外人買いが偽装した口座を使った空売りではないかと指摘しました。さらに「ギン萬事件」がこの空売りを利用して利益を得ていたのではという可能性も指摘します。

このことが事実なら企業から一円も受け取っていない「犯人グループ・くら魔天狗」の本当の目的がみえてきます。この作戦は身代金を受け取るのが不可能と考えた達雄の考えによるものだったんです 

阿久津は元トラック運転手の情報(犯人グループが無線でやりとりしていたという情報)で金田という男が関わっていることをつきとめます。元トラック運転手のおっさんめっちゃ記憶力いいやん!この人もいい味だしてましたよー

金田と昔一緒に働いていた車屋の社長に話しを聞くと、証拠として金田と「キツネ目の男」が写っている写真を差し出してきました。←この写真には犯人グループの内の何人かの男が写っていました。かなり重要な手がかりです

そしてこの写真を元証券マンにみてもらうと、この男を知っているというのです。さらに元証券マンの紹介でその筋の大物ニシダ(仮名)と会うことになりました。その男がニシダより株などについて学んだ情報を掴み、さらにスポンサー(金主)の上東忠彦という男の存在も知ることができました。ニシダが上東忠彦の名前の漢字を説明するやりとりは何故かまどろっこしく笑えました。何か意味がある?元ネタがあるかもですね。

さらにその男が小料理屋「し乃」の女将と親しい仲だという情報も掴みました。今思うと元証券マンとニシダはかなり「ギン萬事件」についての情報を知っていましたね。バレたら青木にやられていたでしょうけど・・・。

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俊也は望の担任だった教師に呼ばれ、望の友達だった女性に会いました。その女性は生島家が居なくなった後も、たまに望と連絡を取っていたというんです。ここから生島家についての情報が徐々に明らかになっていきます

生島家が居なくなった朝、父親の友人という2人の男(達雄と山下)がいきなり来て「生島が青木に殺された」と言うので家族3人とるものもとらず家を飛び出した。そして生島の後輩・山下の所に逃げ込んだのですが、すぐに見つかってしまい逃げられないように建築会社の寮に住むことになったのです。青島に見つかり青島組に見張られる生活を送っていた

その友達は望と会うために大阪の「ギンガの看板」で待ち合わせの約束をしますが、望は現れなかった。望は今の生活が嫌になり、そして自分の夢を叶えるため意を決して逃げるつもりでした・・・、叶わず。

望の友達の女性は、同じ「子供の声」の主である俊也が元気に生きているので、望もどこかで生きていると希望を持ち泣きました・・・。このシーンもかなり辛かったです。翻訳家になるという夢があった望はその時代(昭和後期)を象徴するかのように自分の夢を持っている女の子で、それが勝手に壊されて本当に辛いシーンでした・・・。

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阿久津は大阪の堺にある小料理屋「し乃」に行き、女将に話を聞こうとしますがすぐ追い返されてしまいます。しかし板長が何か知っていると睨んだ阿久津は、女将が留守の間に板長に話を聞きました。板長はすぐ喋っちゃいますw 更に「自分のことを誰かに聞いたか?」と思わせぶりなことも言っちゃいます。加速度的に板長の口が軽くなっていきますww 板長に話を聞いた阿久津は犯人グループについて、柔道をやっていた男の話や何人ぐらい居たかなどの情報を掴みました。この板長のやりとりはこの映画の唯一のもの?笑えるシーンで好きです。さすが今ブレイク中の橋本じゅんさんです、最高にいい味出してましたwww

阿久津は今までの情報をまとめていく中で、板長の「自分のことを誰かに聞いたか?」という言葉で、俊也の存在を知ることになります。

ここで初めて対面した阿久津と俊也。

阿久津は俊也が「子供の声」の主ではないかと考え 俊也に協力を求めますが、俊也は面白半分で取り上げないでくれと追い返しました。そこでたまたま帰宅した妻と子に阿久津は咄嗟にその場を取り繕い子供に優しく接しました。←この子供の接し方が阿久津に協力しようと思った一因にもなっています。ここの主役2人の演技が本当の初対面に見えるぐらいリアルで印象的でした

俊也は自分自身の真相と同じ声の主である望と聡一郎のことを知るために阿久津と共に行動することを決めました。ここでの俊也の妻・亜美(市川実日子)の俊也への対応(やりとり)が素敵なので必見ですよ!

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青木組の建築会社放火殺人事件で容疑者になっていた津村と、中学生ぐらいの男の子が消えたことを知った阿久津はその男の子が生島聡一郎だと考え、消息を追うため岡山に向かいました。新聞記者として場馴れした阿久津とテーラーとして働く素人の俊也が対照的な言動で取材を進めていくバディ感が良かった。あと俊也が阿久津を褒めちぎるシーンは微笑ましいですよ。京都人コワっ(笑)

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出典元:罪の声 : フォトギャラリー 画像(15) – 映画.com

岡山の中華屋で聡一郎は本当の家族のように扱われ十数年間生活していたようです。青木組に関係する人に気づかれ中華屋の夫婦に迷惑かかると思い姿を消した

2人は事情を話し、聡一郎の連絡先を教えてもらいました。そして俊也が電話を掛けました。このタイミングで電話口の聡一郎は自分の部屋で首を吊って自殺しようとしていました

俊也は自分も「子供の声」の主だと告白し、聡一郎と大阪の「ギンガの看板」のところで待ち合わせすることになりました。昔、望が友達と待ち合わせしたところを指定したのは、聡一郎が自分のせいで姉がここに来れなかったという思いからです。

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ここで阿久津と俊也は聡一郎から今までの事を聞くことになります。ここからの話は胸が締め付けられる思いになります。本当に辛くなります・・・。

生島一家が失踪した朝、男2人(達雄と山下)に助けられ山下の知人の家に逃げることになります。しかしすぐに青木組に居場所がばれて、青木組の建築会社の寮に軟禁されます。

姉の望は今の生活が嫌になり、そして自分の夢(映画の翻訳家)を叶えるために家から出ようとしますが、弟の聡一郎にバレて一緒に喫茶店へ。そこでメロンソーダを飲ませている隙に、望は友達との待ち合わせ場所の大阪の「ギンガの看板」に行こうとしますがキツネ目の男(ハヤシ)に見つかり事故を装い殺されてしまいました。衝撃的なシーンで2回目はきちんと観る自信はないです。

姉が目の前で殺され怖くなった聡一郎は青木組の使いぱしりをするようになりました。元警察官の生島の息子という事でしょっちゅう虐められます。そんな中、世話を焼いたのが津村でした。津村は賭博の金を中抜きしてリンチされ、殺されかけます。それを聡一郎が助けると津村は建築会社に火をつけ2人で逃げることになりました。この辺の話はかなりテンポが早く映像に釘付けになります。

しばらくは津村と一緒に生活していたが、津村が女と生活するようになり聡一郎は靴の修理をする会社で働いていた。しかし目が見えづらくなり解雇された。保険証もないので病院にも行けませんでした・・・。追い打ちをかけるように災難続きでもう目を覆うレベルでした。

阿久津は事件が時効になったことや青木組はすでに解散されているので追われることがないことを告げます。すると聡一郎は泣き崩れます・・・。俊也は同じ「子供の声」の主として、今の自分との違いに罪の意識を強く感じてしまいます。本当に切なく胸がはちきれそうになりました・・・。

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ここからはさらにネタバレになるので細心の注意をしてください。

俊也の母・真由美は一時退院して家(テーラー曽根)に帰ってきました。

真由美は誰もいなくなった隙に押入れの奥にある「テープ」と「手帳」が入った箱を探しだします、そこに俊也が現れて真由美に箱のことを問いただします。

なんとテープに俊也の声を録音させたのは、母・真由美だったのです・・・。え?マジで?意外でした。父・光雄は全く事件に関与していなかったのか・・・。

真由美は自分の父が死んだ理由について警察に恨みを持っていて、反体制運動に参加していた。すでにそこで達雄と面識がありました。

やがて反体制運動も下火になり、真由美は光雄と結婚し俊也が生まれ家族三人で穏やかに暮らしていました。そこに光雄の兄・達雄が訪ねてきました。達雄に会って真由美の心に「警察への恨み」が再び火がついたのです。

達雄から真由美に連絡があり、「ギン萬事件」のことについて協力を求められます。再び「警察の恨み」を思い出した真由美は達雄に協力し、俊也に脅迫状を読ませテープに「子供の声」を録音しました。真由美と達雄のあいだに恋愛感情が無かったのが救いでした。

俊也は真由美に「子供が罪人になることは考えなかったの?」と問うと、真由美は「心が奮いたった・・・」と言いました。ここまでくると何も言葉が浮かばないくらいショックでした・・・

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阿久津は本当の罪人(達雄)を裁くため再びロンドンに向かいます。

阿久津は再びソフィを訪ねます。今度は「中国人」ではなく「日本人」を知らないか?と尋ねると、ソフィは達雄の居所を教えてくれました。この映画にでてくる登場人物は全員めっちゃ正直者ですよね。みんな嘘つけない人ばかりです。

阿久津は達雄がいるヨークの街にある書店を訪れ、達雄に全容を明らかにするよう話をします。俊也の存在を知った達雄は「ギン萬事件」について語り始めました。

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出典元:罪の声 : フォトギャラリー 画像(18) – 映画.com

生島秀樹がロンドンにいる達雄を訪ねてきたところから全ての事が始まりました。

生島は賄賂に関与するために警察を辞めていて、反体制運動に参加していた達雄と組むことを考えました。生島の「世の中に一発かましてやりたい」という思いに達雄は気持ちが奮い立ち、今回の事件の計画を練ったのです。

日本人(要人)は護衛がおらず誘拐も容易にできると考えました。しかしどうやっても身代金の受け渡しが上手くいかないと気付いた達雄は株の空売りでお金を奪おうと考えました。達雄は真の目的はお金ではなく世の中に対しての不満で、それさえ叶えばお金はどうでもよかったのです。

生島の集めたメンバーはヤクザの青島やキツネ目の男などヤバい者も多く含まれていました。

思ったよりもお金が稼げず苛立つメンバーは(達雄グループ(生島、山下)と青島グループ)で対立していきます。

そしてお金を手に入れたい生島は青島グループに単身乗り込みますが、そこで生島は殺されてしまいます。

危険を察知した達雄は急いで生島一家を逃がしました。その後現金を奪うため計画するが失敗します。俊也の声を使った事件ですね。

達雄は「ギン萬事件」について社会への闘争だったと言います。阿久津は「子供の声」の主になった生島家の子供2人の壮絶な人生を伝えると、達雄はあまりの事実にその場に立ちすくみました。結局このあと達雄は姿を消すので、ふざけんなーってなりました。

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帰国した阿久津は今回の真相を新聞の記事に書きました。

聡一郎は生き別れの母・千代子に会うため、記者会見をします。この時に着ていたスーツは俊也が仕立てたものでそれを着た時の聡一郎の表情がなんとも言えないほど晴れやかにみえた。それがまた切なくもありました。

その後、聡一郎と母・千代子は養護施設で再会を果たします。そこで望の声(犯行につかわれた「子供の声」)を聞いて、聡一郎と千代子は望の死に涙する。ここまで胸が痛くなる映画はあまりありません。犯行に使われた声で涙するって・・・、悲しすぎます。

俊也の母・真由美が亡くなります。俊也の子供が持っていた 昔俊也が遊んでいた「ギンガのおまけの車のおもちゃ」が壊れました。それを見て抱きしめる俊也・・・。

社会部に移った阿久津はテーラー曽根を訪れ、俊也にスーツを依頼する。(完)

 

【まとめ】

この映画の良かったところはまずキャスティングがバッチリなところです。最近は忖度キャストがある作品が多すぎだと思うんですが、この作品は本当に良かったです。個人的に好きな俳優さんが多く出演していたので嬉しかったですね。

主役の2人の演技が対照的。記者として働く小栗旬扮する阿久津は取材の経験があり場馴れした演技に対して、テーラーで職人気質の星野源扮する俊也は素人らしい抑えた演技が効いていた。本当に素敵なバディでした。また違う作品で共演してほしいです。

曽根一家をみていると徐々に本当の家族に見えてきました。顔も雰囲気も結構近い人を選んでキャストしていて、それが違和感を全くのゼロにしていました。

これしかないと思うぐらいのキャスティングでした。

ちょっとしか登場しない人たちの演技も素晴らしく、それが”ジャブ”のように効いてきます。すごく登場人物が多い作品なんですが全く苦になりませんでした。

あと良かったのは、セリフの一つ一つが本当に心打つもので感動できるところです。

例えば、社会部デスクの鳥居が阿久津になぜ取材をするのか問われた時に「俺らの仕事は素因数分解みたいなもんや。素数になるまで割り続けることは大変やけど、その素数こそが事件の本質で人が求める真実や」と言うセリフがあるんですが、かなり痺れました。

それ以外にもたくさんの名台詞がありました。そこも見どころの1つですよ。

本当にこの映画が事件の事実であるように錯覚するほどリアルで、真実を超えたリアルを体感できる素晴らしい映画です。

1つマイナスポイントがあるとすれば、映画としてみた時に世界感が限られていて、誰が観ても同じように感じるし、それを超えて想像することができないというところが唯一の残念なところかなと思いました。

【自己評価】★★★★☆(4.0点)

大変長い記事になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。